令和7年10月5日(日)9時30分までのカウントダウンです
【実務試験】が難しい年度の試験に合格した方たちは心からすごいと思います。
通関士試験を科目免除なしで受験する方々の、最大の難所となるのが、実務試験です。
通関士試験の勉強をそれなりにしてきたけど、合格に届かなかったというほとんどの方は、この科目が要因じゃないでしょうか。
実務試験の中で難しいのは、【通関書類の作成】です。
初めて問題をやったときは、なんだこれはってくらい、難しかったです。
私が合格した平成29年は、ラッキーイヤーなんて呼ばれていますが、その理由は、この【通関書類の作成】がとっても簡単な年だったからです。
私の近くの受験者の方は、実務試験の後に、「めっちゃ簡単」みたいなことをつぶやいていました。
全く同感です。
近年の難易度と比べると、あまりに簡単だったので、もしかしたら、その年の実務試験は、合格のボーダーラインの引き上げがあるんじゃないかとの話も出るほどでした。
案の定、この年の合格率は跳ね上がり、なんと20%以上にもなりました。
本当の合格率の話でもふれていますが、平成29年の第51回の試験に関しては、普通に試験勉強をしてきた方だけで合格率をかんがえると、発表されている数字より、だいぶ高いんじゃないかと思います。
その他の科目の勉強法や人気の参考書については下記のリンクにてご紹介しています。
実務試験の明暗=合否の明暗
実務試験の明暗は【輸入通関】と【輸出通関】の【通関書類の作成要領】の問題を攻略できるかどうかにかかってきます。
書類の作成要領以外の、その他の問題は、普通に勉強しておけば、全部が分からないということはまずありません。
万一、数問が分からなかったり、勘違いで間違えてしまっても、数点をロスするだけです。
しかし、書類の作成要領では、大きい点数配分の中で、商品の価格、そして記載する順番のどちらも正しく答えないと正答にならないため、全てを完璧にこなさないと、大きな点数のロスにつながります。
たとえ計算が合っていても、順番を間違えれば不正解なので、計算技能はもちろん、順番を決めるルールの知識も必要となります。
問題ごとに指示される、順番の付け方をしっかり読まずに、だいたいいつも通りの感じでやってしまうと、たとえ計算が全てあっていても、順番間違いで無得点になることもあるでしょう。
実務試験の45点満点のうち、通関書類の作成要領だけで計20点を占めるため、ここで上手に点数がとれないと、実務試験をパスすることはかなり難しくなってきます。
実務試験をパスすることができないということはつまり、その年の通関士試験に合格できません。
コツコツと勉強してきた全ての日々が、些細なミスでその年はふいになってしまう、とっても厳しい試験科目です。
実務試験への対策
実務試験は、テキスト上での学習範囲こそ狭いですが、先に少しやってみたところ、慣れが必要な問題が多そうだったので、私は多くの学習時間をとるようにしました。
実務試験だけに絞った市販の問題集が出ていることからもわかるように、特に【通関書類の作成要領】は、とにかく多くの問題にふれて、慣れていくことが大事だと思います。
学習時間
通関士試験の3科目のうち、一番長い学習時間をとりました。
問題集や過去問など、一ヵ月以上に渡って演習を続けました。
正確に計ったわけではありませんが、実務試験への対策の9割くらいの時間は、【通関書類の作成要領】の演習に費やしました。
申告書以外の計算問題などは、それだけを勉強したのは数日くらいで、コツコツやらなくてはいけなそうな商品分類の暗記を空き時間にやっていました。
学習方法
通関書類の作成要領
学習初期
私の場合、難しいと言われる、【通関書類の作成要領】がどんなものなのか興味があったので、通関士試験を受けようと決めて、最初にポチッたのがヒューマンアカデミーの【通関実務】でした。
初見では難しく感じましたが、実務試験の学習のとっかかりにはとても役に立ちました。
書類の作成問題は、いきなり過去問や本番に近い難易度の問題集から始めても、チンプンカンプンになってしまうと思いますが、このテキストを最初にやっておいたおかげで、だいぶ理解が早かったです。
ほんの数ページなんですが、最初に【書類作成問題の攻略法】というページがあり、書類作成問題の計算方法や、少額合算についてなど、どんなルールで進めるのか、簡単に説明されています。
これがとても役に立ちました。
ただ、FOBやCIFといった、貿易条件の説明はなしで、いきなりお話が進んでいくので、よく分からない単語は自分で調べないといけません。
テキスト後半に貿易条件についての説明はありますが、索引もないので、ネットで調べちゃった方が早かったです。
学習後期
学習後期といっても、初期は1週間もかからないので、学習期間のほとんどは後期扱いです。
後期はひたすら、たくさんの問題に触れていきました。
ヒューマンアカデミーの【通関実務】は初期の学習に使用し、後期の学習には、もっぱら日本関税協会の【ゼロからの申告書】と過去問題をやり続けました。
ゼロからの申告書は、歯ごたえのある問題ばかりで、かなり難しかったです。
一応は問題をやってみるのですが、むしろ最初は問題を解くというよりも、解答の解説を読んで、感心しているような感じでした。
ただ、やり続けるうちに、だんだんと解き方や考え方に慣れてきて、少しづつですが、点数もとれるようになり、解答を導くまでの時間も短くなっていきました。
もっとたくさんの問題にふれるため、過去に発売されたゼロ申も中古で手に入れて一通り行いました。
ゼロ申は年度が近かったせいか、類似の問題もありましたが、とにかく本番の試験前までに、できるだけたくさんの問題をやり込みました。
計算問題
計算問題の対策にはそれほど時間をかけませんでした。
ただ、【実務演習】に収録されている問題だけでは演習量が足りないと思い、日本関税協会から出ている【計算問題ドリル】の中古本を試験本番前に、数日で一通りやりました。
分類の問題
分類の問題の対策には単語帳を使いました。
どこかの通関士試験対策の講座を受けると、分類の単語帳がもらえるというのを見て、来年度からの受講の前までは自分で作った単語帳を使おうと作ってみました。
自作の単語帳は、防水っぽい素材のものを100円ショップで購入したもので、空いている時間や入浴中に繰り返しながめるようにしました。
下の画像が実際の単語帳です
こんな風に、表に【類】の【番号】と【商品のくくり】を書いて、裏には具体的な品名と混同しやすい品名とその番号を書きました。
自作といっても、書き込む内容は自分で調べて作ったわけではなく、【通関実務】の付録ページの商品分類一覧を書き写しただけです。
単語帳が本当に必要な勉強方法だったかは、今となればちょっと疑問ですが、本当にこのテキストにはお世話になりました。
左ページは、85類の電気機器とそれらの部品の裏ページです。
85類の商品の具体例が下に、上には混同しやすい他の商品名とそれらの番号を書いています。
何のひねりも工夫もなく、ただただ【通関実務】の付録ページを書き写しただけです。
過去問題
他の科目と同様に過去問もどんどんやりました。
間違えた問題は、間違い直し用のノートに要点をまとめていったりと、過去問の進め方も他の科目と同様に行いました。
こちらは49回の実務試験の間違い直しノートです。
もし、もう一度受験するなら・・・ぜったいイヤだけど
試験後、あの勉強方法はやらなくてもよかったかなーと思ったのは、上で紹介しているのですが、単語帳による分類の暗記です。
平成29年は、商品の分類に関する問題には、税率表(抜すい)がしっかり出ていて、それをしっかり読めば、答えられるような問題でした。
税率表の説明が理解できるかだけの問題でしたので、この年の試験に関してはわざわざ単語帳を使って、類と混同しそうな商品とを暗記なんてしなくてもよかったなーと思います。
今後も分類の問題が税率表の理解をはかるような傾向で出題されるのであれば、単語帳の暗記はいらないと思います。
趣味的に覚えたりするなら話は別ですが、そもそも分類の問題って、たったの1点なので、それほど力を入れてやらなくてもよかったかなーと思います。